日本語の先生になろう。

日本語教師になるためには?

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2019年11月11日(月)

Category:コラム

日本語教師とは、日本語を母国語としない外国の方に日本語を教える職業のことです。

留学生の増加や日本企業の海外進出に伴い、国内だけではなく海外でも日本語教師は必要とされているので、近年、日本語教師の需要は高まりつつあります。

 

※日本語教師の需要については別コラムにて投稿予定です。

 

「外国人に教えるのだから、外国語が話せないといけないのか」と思う人もいるかもしれませんが、そうではありません。

外国語を話せなくても日本語教師になることができます。

日本語教育の現場では、日本語で日本語を教える「直接法」が主流となっているためです。

対象となる国々もさまざまなため、あえて外国語を使用せず、絵カードやれアリア(実物教材)などを用いたりして、日本語を身近なものとして習得しやすくしています。

 

外国語を話せた方が、外国人とのコミュニケーションは円滑になりますが、日本語教師としての資質としてはそれほど重要ではありません。

日本人ならば、日本語で日本語を教えることはできそうな気がしますが、母国語としていない人に日本語を教えるためにはスキルが必要です。

限られた期間の中で、さまざまな分野で活躍したいと目標を持っている外国人が、正確な日本語の会話や読み書きを身に付けられるようにしなければいけないので、適切な指導ができるかどうかの資質が求められる職業なのです。

しかし、「人との関わりが好きだから、外国人とのコミュニケーションを通してさまざまな国の価値観などに触れられることで刺激を受けて、人生が楽しくなった」という日本語教師の声が多いのも事実です。

 

現在、日本語教師になるために必要な公的資格はありません。

公的な資格も必要ない、外国語も必要ない、それなら誰でもなれるのでしょうか。

結論的にはなれます。

「誰でもなれるのなら、あえて資格を取得しなくてもいいかな」という人もいるでしょう。しかし、資格を取得しておいた方が幅広く活躍できる可能性を広げることができます。

それだけでなく、日本語教育の現場ではある程度の資質、いわゆる知識と技術は欠かせません。


日本語教師として活躍している人たちのバックグラウンドは多種多様で、年齢や性別は関係ありません。例えば、子育てがひと段落した主婦が日本語教師を選ぶこともあります。

また、留学先の国で日本語教師という仕事に興味を持ち、帰国後に日本語教師を目指しはじめた学生や、定年後の方が第2の人生のやりがいとして日本語教師を目指すこともあります。
実際、日本語を学びたいという外国人の年齢層の幅が非常に広いため、幅広い世代の日本語教師が求められているのが現状です。

 

今回は、日本語教師の活躍の場はどのようなところがあるのか、日本語教師になるためにどのようなスキルを身に付ければいいのか、どのような人たちがどのようにして資格を取得しているのかについて解説していきます。

日本語教師の活躍の場

日本語学校

日本語を母語としない外国人に日本語を教える日本語学校には「法務省告示校」に認定されている学校とそうでない学校があります。

認定されている日本語学校の場合、留学ビザが付与される外国人留学生を受け入れられるため、様々な国籍の外国人に教えることができます。
その分日本語教師としての活躍の場がさらに広がることになります。こうした認定された日本語学校が一般的な日本語学校と呼ばれています。

自治体・ボランティア団体での日本語教師

自治体・ボランティア団体での地域日本語教室では、資格がなくてもだれでも教えることが可能なので、日本語を教えるチャンスが比較的多いです。ただ、ボランティアなので無償になっています。

公立の小中学校


例えば、外国人居住者の多い地域で、日本語を十分に理解していないまま公立の小中学校へ通う子供たちを対象に日本語を教えている人もいます。
自治体が教員資格を持つ教師を派遣する場合もありますが、多くは市民ボランティアが支えています。地域が限定されているため教える機会は多くはありません。また、有償無償は地域によって変わります。

インターナショナルスクール

幼稚園児から小学生に教えるため、教え方とともに幼児教育、児童教育分野の知識が必要になり、ここでは子供が対象になっているため英語力も求められます。

企業での出張レッスン

日本の企業で働く外国人社員に対して行うレッスン。さまざまな形態のレッスンがあり、多忙な学習者に合わせるため、柔軟性が必要とされています。

海外


その他、海外での活躍の場も少し紹介します。
〇公的な海外派遣プログラム
〇日本語学校の海外提携校
〇日系企業
〇技能実習生の送り出し機関

これまでに紹介した日本語教師の活躍の場で触れましたが、働く環境によって、資格が必要でないものもあります。

しかし、多くの日本語学校では、文化庁が定めたガイドラインが存在します。日本語教師になるために必要な公的な採用条件はありませんが、一般的な日本語学校では、そのガイドラインの条件が採用条件になっています。
その条件を満たすものが、いわゆる「日本語教師の資格」です。

ここからは、資格取得ルートについて詳しく紹介していきます。

日本語教師になるための資格

一般的な日本語学校の教師採用条件として、現在は次の3種類のうち、いずれかの条件を満たす必要があります。

条件1:文化庁に届出が受理された420時間以上の日本語教師養成講座を修了し、かつ4年制大学を卒業している
条件2:大学・大学院で日本語教育を専攻し、必要な単位を取得する
条件3:日本語教育能力検定試験に合格する

日本語教師養成講座

まず条件1について詳しく見ていきましょう。
日本語教師に必要な知識と技術をしっかりと身につけられる講座として、日本語教師養成講座があります。

この養成講座はいくつかのタイプに分類され、その中でも420時間コースは、ゼロからスタートする人に圧倒的に受講されている講座です。

さらに420時間コースの中でも、文化庁に届け出が受理された420時間コースの修了は、条件1の必須要件になっています。
なお、文化庁に届け出が受理されていない日本語教師養成講座もあり、それらは対象外になりますので、受講前に確認が必要です。

今まではこの420時間コースを修了していれば、ほとんどの日本語学校の求人に応募することができました。
しかし、これまでよりも日本語を学ぶ外国人が求めるスキルも高くなってきている傾向もあり、2017年8月には「日本語教育機関の告示基準」が施行されて、4年制大学を卒業しているという条件が加わりました

つまり、一般的な日本語学校で教師になるためには、日本語教師養成講座の修了かつ4年制大学を卒業していることが条件となったのです。

これが条件1です。

主な日本語教師養成講座のタイプ

上記で述べたように日本語教師養成講座にはいくつかのタイプがありますので、ここではそのいくつかのタイプについて説明します。

〇420時間コース

ゼロからスタートする人向けで、実技、理論の両方を基礎からしっかり学べるコースです。
圧倒的に受講されているコースで、条件1で対象となる日本語教師養成講座はこのタイプになります。

420時間コースの期間は半年から1年が平均的ですが、働きながらでも通いやすいように、平日の夜間や土日に行われる授業も用意されてる場合もあります。土日・平日夜だけでも1年間かければ、十分に修了を目指すこともできます。受けられない曜日の授業を他の曜日に振替えできる講座もあるので、上手く活用していくといいでしょう。

また、スクールにより、文化庁の届け出に必要な420時間ギリギリの養成講座もあれば、即戦力を養成するために教育実習に時間をかけてトータルで480時間以上を確保している養成講座もあるので、しっかり調べてから決めるようにしましょう。

〇日本語教育能力検定試験対策コース


日本語教育能力検定試験に合格するためのポイントなどが集中して学べるコースです。日本語教育能力検定試験というのは条件3を満たす試験です。
試験の合格に焦点を絞って学ぶことができるので、試験合格のためのポイントを押さえることができます。

約75%は不合格という難しい試験なので、独学で試験にチャレンジする人にも、受講をオススメしています。
なお、頻繁に開講しているわけではないので募集時期や開始時期などを注意しておきましょう。
試験は10月に実施されることから、例年7月~9月に行われることが多いです。

〇実践・実技コース

日本語能力検定試験に合格した人、大学で理論だけを学んだ人が、実践経験を学ぶためのコースです。
試験に受かっても実践経験がないという人は、実際の採用の時点で苦戦を強いられますので、このタイプのコースで実践経験を積むといいでしょう。

〇現役教師対象ブラッシュアップコース

現役教師・養成講座修了生・現場をしばらく離れていた人向けのコースです。

近くにスクールがない人のために、通信講座を行っているところもありますので、自分に合ったスクール・コースを慎重に検討してください。

大学や大学院の日本語教育専攻で学ぶ

次に条件2について見ていきましょう。
文学部や外国語学部など、日本語教育関連科目を学ぶことができる大学は多いため、日本語教師になる手段として活用することができます。

大学で日本語教師の資格を取得するためには、主専攻で日本語教育関連科目を45単位以上、副専攻で26単位以上を履修する必要があります。大学院の場合には、主専攻で24単位以上、副専攻で28単位以上の履修が必要です。
海外提携の大学などでのインターンシップなどを経験できることもあり、海外の日本語教育現場での実践練習ができる場合もあります。

日本語教育能力検定試験に合格する

ここまで見てきた条件1も条件2も大学を卒業する(もしくはしている)必要があります。
しかしながら、大学を出ていなくても、日本語教師として活躍している人は多くいます。
そのような人のためにあるのが、上記の条件3にあたる「日本語教育能力検定試験」に合格することです。
毎年10月に実施されている「日本語教育能力検定試験」は、受験資格の制限はなく、誰でも受験可能なため、合格を目指し受験する日本語教師志望の人がたくさんいます。

合格することができれば、日本語教師の有資格者として認められます。

しかしながら、後述の「日本語教師として働くために」で上げるような問題点もありますので、日本語教師養成講座を受けながら目指す人は多いです。

合格率は約25%で、難易度の高い試験になりますので、
知識の習得だけでなく、試験対策として入念に準備していく必要があります。
※日本語教育能力検定試験については別コラムにて投稿予定です。

キャリアアップのために日本語教師になる人が増えている


自分の新しいキャリアとして、日本語教師になる社会人の人はとても多くなってきていますが、社会人が働きながら、日本語教師になるにはどうすればいいのでしょうか。

今の仕事で生計を立てながら、いずれは日本語教師として活躍したいと考えている人もいらっしゃるでしょうから、そういう人たちのためのチャレンジ方法を考えてみたいと思います。

先ほどの条件から考えると、参考書やテキストを見ながら、独学で勉強し、日本語教育能力検定試験を受験する条件3が一番シンプルです。

一方で、働きながらの勉強になるため、十分な試験対策が行うこと難しい中で、1年に1度しかない試験に挑戦しなければならないという現実があります。
実際、合格率が約25%ということは、約75%の人が十分な対策が出来ずに不合格になっているということです。

そのため、上記で紹介した日本語教育能力検定試験対策講座を受講することで、効率よく勉強することができます。

日本語教師として働くために

働きながら、資格を取るという観点では、条件3で目指すことがシンプルと考えられますが、資格を取得した後で教師として働くという観点で考えると、条件3のみの場合、合格後のデメリットがあります。

それは、受験勉強で知識は身につけることができますが、日本語教育能力検定試験は筆記試験で知識のみが問われる試験になるため、実践経験を身につけられないという点です。

日本語教育能力検定試験に合格しただけで、資格条件を満たすことはできるのですが、現場で求められるものは、実践力です。
そのために、日本語教師養成講座の実践コースを受講し、実践力を身に付けていく人も多くいます。

つまり、条件3で資格としては満たされていても、実際に教師として教壇に立つためには、実践経験は必要になるわけです。

ですので、ゼロからスタートして最短で日本語教師になるルートとしては、日本語教師養成講座を受ける人が多くなっています。

まとめ


日本語学校・日本語教育機関などで採用時に最も重視されている条件は、指導力があるかどうかです。
特に採用の面接時には、模擬授業を実施し、日本語教師としての資質があるか判断されます。その時に、実践経験があれば、学んだことを活かして模擬授業を行うことができ、指導力があると判断されます。
つまり、即戦力が求められているのです。

資格取得はゴールではありません。理論を理解し、知識も豊富で、実務経験もある日本語教師が理想と言えます。

それぞれ特徴や学び方、メリットデメリットが異なりますが、日本語教師と活躍するための自分に合った資格取得ルート選択の参考として、本コラムがお役に立てれば嬉しいです。

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