日本語の先生になろう。

日本語教育能力検定試験に独学で合格するにはvol.2 学習の進め方編

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2021年5月13日(木)

Category:コラム

はじめに

こんにちは。三幸日本語教師養成カレッジの青山豊です。

前回のコラムの最後で「次回は『過去問』の使い方についてお話しいたします」とお約束しましたので、今回は「検定合格のための学習術」と「合格のための過去問活用術」を中心にお話しして参ります。

 

日本語教育能力検定試験に限らず、いわゆる「資格試験」の「学習スケジュール」でよく見られるのは次のようなものではないでしょうか。

 

「試験までの1年間のスケジュール:最初の3ヶ月は試験範囲全体の基礎固めを行い、次の3ヶ月で応用力を身につける、そのあとの3ヶ月で過去問5年分にチャレンジし、最後の3ヶ月は苦手科目対策にあてる」

どうでしょう?いかにもありそうではないですか。

こういうスケジュールは、正論といえば正論で、間違ってはいないのでしょうが、あまりに理想的過ぎて、机上の空論になりかねません。

 

そこで、このコラムでは、日本語教育能力検定試験という試験の特徴(や特殊性)を、十分に踏まえた上で、「合格できる学習術」を考えて参ります。

 

はやく「過去問が解ける」ようになろう

最初にお伝えしたいのは「一日も早く、過去問が解けるようになってください」ということです。

「えっ!そんなの無理っ!」という声が聞こえてきそうです。

 

しかし、ここで「過去問が解けるようになる」というのは、「ほとんど間違えずに、どんどん正答が出せるようになる」という意味ではありません。

 

そうではなくて、「過去問に取り組むことが意味を持つレベルにまでになっている」ということです。さらに言い換えると「自分の今の日本語教育に関する知識の理解度を日本語教育能力検定試験の問題に答えることによって確認してみたいと思える段階になっている」でしょうか。

 

今回の連載コラムは「日本語教育能力検定試験に独学で合格するには」ですので、読者が「独学者」だとして話を進めます。

 

その方(かた)はおそらく※1「日本語教育能力検定試験の全体をカバーする参考書」をお持ちでしょう。もし、すでにその参考書を最後まで読み終わっていらっしゃれば、上で述べた「過去問が解ける状態にある」と考えられます。

 

また、まだ全部は読み切っていないけれども「日本語の文法」の項目は読みました、という方は過去問の中の「言語一般」領域から出題された問題に「取り組んで」みることが可能です。あるいは「第二言語習得」というタイトルに惹かれて、参考書のその部分を読み終えた方は「言語と心理」の中の「第二言語習得」の問題を解いてみるといいでしょう。

 

以下、この要領で「知識の仕込み」が終わった分野や領域から、順次、検定過去問にチャレンジをしてみてはいかがでしょうかというのが、今回提案をさせていただく「合格できる学習術」です。

 

私がこのような、ある意味では「無茶ぶり」とも言える検定対策を提案するようになったのには理由があります。

 

長年、検定試験対策講座講師をしてきた経験から、「受講生の方々の『準備』が終わるのを待っていては、いつまで経っても過去問に手をつけられない。それなら『準備』と『過去問チャレンジ』を並行してやってもらおう」と考えるに至ったのです。

 

「アウトプット(=日本語教育についての知識は試験ではどのような形で問われ、どのように答えることが求められるか)を意識しながら、インプット(日本語教育に関する知識や知見を学ぶこと)しよう」ということだなと理解していただいても良いかもしれません。

 

※1 日本語教育能力検定試験の出題範囲については、http://www.jees.or.jp/jltct/range.htmをご覧ください。また「参考書」にはどんなものがあるかについては次回のコラムでしっかりご紹介しますのでお楽しみに。

 

過去問を解ける人が、未来問も解ける

ここで、これまで何度も出てきた「過去問」についてお話します。

過去問は、正式には『令和n年度(/平成n年度)日本語教育能力検定試験 試験問題』といいます。

 

試験を受けた方は、その問題冊子を持ち帰ることを求められますから2020年10月25日(日)に実施された「令和2年度 日本語教育能力検定試験」を受験した方は、その問題を手元にお持ちです。

そして、この問題は通常、翌年3月に試験Ⅱの聴解問題のCDを付けた形で書籍化、販売されます。

 

なお現在入手可能な過去問については、以下の日本語教育専門出版社の凡人社のサイトでみることができます。

http://www.bonjinsha.com/wp/jltct_taisaku

 

以下では、この過去問について皆さんがお持ちの「先入観(/常識/偏見)」と、それに対する私の「反論」をご紹介することを通じて「合格のための過去問活用術」をお伝えしていこうと思います。

 

先入観1:自分には、まだ過去問に取り組むのに十分な「力(ちから)」がないので、それがついてから取り組みたい。

反論1:これは、今回のコラムの前半をお読みくださった方はおわかりいただけますね。「十分な力」がつくまで待つのではなく、アウトプットし(=過去問を解き)ながら、合格に必要なインプット(=日本語教育の知見を身につける)の質と量を見極めていくのが効果的です。

 

先入観2:過去問は、自分が本試験を受ける直前までに「力試し」(≒模擬試験問題)として使いたいのでそれまで取っておきたい。

反論2:お気持ちはわかります。ではこうしましょう。あなたが令和3年度の試験を受けるとしましょう。一般的に過去問は3年分に取り組むのがよいという考え方があり、私もその意見に賛成です。そうすると令和2年度、令和元年度、平成30年度の3年分を対策段階でお使いになっても『平成29年度 日本語教育能力検定試験 試験問題』がまだ「力試し」(≒模擬試験)として残っています。

 

先入観3:過去問と全く同じ問題は出ない

反論3:はい。日本語学校の学生たちも同じことを言います。そのとき私は「そうですね。確かに『同じ問題』はでませんが『同じような問題』は出ます。だとすると『過去問を解いたことのある受験生』と『過去問を解かなかった受験生』のどちらが有利ですか」と言うようにしています。

 

先入観4:せっかく過去問をやるのなら、本番と同じように1日かけて「通し」でやりたい。

反論4:はい。本番の試験までにそのようなシミュレーションをしてみることについては私も大賛成です。しかし、そのためだけに過去問を取って置くのはあまりにももったいない。反論2で述べたように「通し」用の過去問1年分は確保しておいて、それ以外の年度の問題は「小分け」にして、少しずつでも毎日解いていくと、正解にたどりつく道筋が見えてきます。

 

さて、ここまで読んでくださった皆さまは

「過去問を使ってアウトプットをするのは分かりました。でも過去問には正解のみが書かれていて、解説は書かれていないと聞いています。正解した問題はともかく、間違えた問題についてはどうすればいいのですか?」

と思われることでしょう。

 

いい質問です。次回はそれについて考えましょう。

 


執筆:青山豊

(プロフィール)

日本語教師歴約30年。日本語学校、日本教師養成講座の現場で活躍。

2001年度~2020年度まで20年連続で日本語教育能力検定試験合格中。

“検定から学び続ける”をモットーに、現役日本語教師にも役立つ【知識】と【実践力】を融合させる検定試験対策講座を行っている。


 

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