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日本語教師の海外の需要は?

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日本語教師__海外のアイキャッチ画像

2020年8月16日(日)

Category:コラム

日本語教師の活躍の場は、日本国内だけではありません。

世界中で日本語教育のニーズが高まる中、多くの国で日本語教師の需要が高まっています。

そこで今回は、独立行政法人国際交流基金(The Japan Foundation)が2020年6月に公開した報告書『海外の日本語教育の現状 2018年度日本語教育機関調査より』の結果を中心に、海外における日本語教師の概要についてご紹介したいと思います。

日本語教育の需要はどれくらいある?

国際交流基金が行った2018 年度の調査によると、海外における日本語教育機関数は18,661機関、日本語教師数は77,323人となり、いずれも過去最多を更新しています。

そして、全世界における日本語学習者数は3,851,774人となっています。

日本語学習者の多い地域は?

地域別でみると、日本語学習者数のもっとも多い地域は東アジアで、全体の45.3%、次いで東南アジアで31.6%となっており、この2つの地域で全世界の日本語学習者の7割以上を占めています。
同様に日本語教育機関や日本語教師数についても、この2つの地域が多くの割合を占めている状況です。
グラフ1の画像
出典:国際交流基金『海外の日本語教育の現状 2018年度日本語教育機関調査より』
第1章 調査の結果概要 2.地域概況
グラフ1-2-1 地域別機関数の割合
グラフ1-2-2 地域別教師数の割合
グラフ1-2-3 地域別学習者数の割合

日本語学習者の多い国は?

日本語学習者数の割合を国別で見ると、もっとも多い国が中国で全体の26.1%、次いでインドネシアで18.4%、韓国で13.8%となっており、この3か国で世界における日本語学習者数全体の6割弱を占めています。

一方で、教師数の割合を見てみると、やはり最多が中国、次に韓国、ベトナムと続きます。

特に近年、ベトナムでの日本語教師数の増加が顕著であり、日本に来日する外国人留学生の数も、ベトナムは中国に次ぐ第2位となっていることから、ベトナムにおける日本語教育の需要が高まっていることがうかがえます。
グラフ1-2の画像
出典:国際交流基金『海外の日本語教育の現状 2018年度日本語教育機関調査より』
第1章 調査の結果概要 2.地域概況
グラフ1-2-5 教師数における各国・地域の割合
グラフ1-2-6 学習者数における各国・地域の割合

日本語“母語”教師の需要は?

海外で日本語を教える日本語“母語”教師、つまり外国人の日本語教師ではなく、日本語ネイティブ話者である日本語教師の数は16,252人で、教師数全体における割合は21.0%となっています。

では実際に日本語“母語”教師の方々がどこでどれぐらい活躍しているのか、国別に見ていきましょう。

日本語“母語”教師の多い国は?

日本語“母語”教師数の割合を国別で見ると、もっとも多い国がアメリカで3,054人、2番目に多い国が中国で2,544人、3番目がベトナムで1,025人となっています。

先ほど、日本語教師数全体における日本語“母語”教師の割合は21.0%であると述べましたが、裏を返せば、全世界の日本語教師のうちおよそ8割が外国人講師であり、日本語のネイティブ講師の慢性的な不足が問題となっています。
日本語教師 海外 表①画像
出典:国際交流基金 2018年度 海外日本語教育機関調査 調査結果の集計表
5.日本語母語教師数・比率のデータを加工して作成

主な国別の日本語教育事情

ここからはもう少し深い視点で海外の日本語教育事情の動向を見ていきたいと思います。

特に、日本へ来日する留学生上位の中国とベトナム、それぞれの日本語教育事情について取り上げてみます。

中国の日本語教育事情

どのくらいの人が日本語を学習している?

中国は日本語学習者数が世界でもっとも多い国です。

国際交流基金の調査によると、中国における日本語教育機関は2,435機関、日本語教師数は20,220人、日本語学習者数は1,004,625人となっています。
日本語教師海外表②中国の画像
出典:国際交流基金 2018年度 海外日本語教育機関調査 調査結果の集計表
1.総括表のデータを加工して作成

中国の日本語学習者が多い背景には、日系企業の進出など日中間の経済面でのつながりが大きいことが挙げられます。

また、地域差があるものの、日本で働く方が給与水準が高くなるため依然として日本での就職を希望する人も多く、国別の技能実習生数においても中国は第2位となっています。

一方で日本のアニメやファッション、ポップカルチャーや観光といった文化的要素においても人気があり、このことも中国の人々が日本への興味を抱く大きな要因です。

高等教育機関で日本語を学ぶ人が多い

中国における日本語教育の特徴として、高等教育機関で学習する人の割合が高いことが挙げられます。

大学卒業後に日系企業や日本と取引のある企業への就職を希望する学生が、日本語を専攻することがこの結果の背景にあると考えられます。

また、中等教育機関での学習者数も増加傾向にあります。

これは大学入試の受験科目で日本語を選択する生徒が多くなってきていること、幼少期から日本のアニメなどのサブカルチャーに接しているため親しみがあること、旅行先としての日本の人気が高まっていることなどが主な理由と言えます。

ベトナムの日本語教育事情

どのくらいの人が日本語を学習している?

日本語学習者の増加率がもっとも高い国がベトナムです。

国際交流基金の調査によると、ベトナムでの日本語教育機関は818機関、日本語教師数は7,030人、日本語学習者数は174,521人となっています。

3年前に行なわれた調査と比較すると、教育機関数で3.73倍、教師数で3.91倍、学習者数で2.69倍と大きく増加していて、ベトナムでの日本語学習に対する関心度の高さがうかがえます。
日本語教師海外表②ベトナムの画像
出典:国際交流基金 2018年度 海外日本語教育機関調査 調査結果の集計表
1.総括表のデータを加工して作成

ベトナムで日本語学習者が増加している理由としては、バイクをはじめとする日本製品、日本のサービスに対する信頼性の高さや日系企業に対する良いイメージ、また若者を中心にアニメやポップカルチャー、ファッションに対する関心の高さが挙げられます。

これに加えて、近年は両国間の政治面、外交面での良好な関係が追い風となって、経済的な交流が進んでいることから、ビジネスや就職・転職を念頭に日本語を勉強する人が多くなっています。

学校教育以外での学習者数が多い

ベトナム内での日本語教育の特徴としては、学校教育機関以外、つまり現地の日本語学校日本語を学ぶ人が多い点です。ベトナムにおける日本語学習者数の半数以上が学校教育以外の機関で日本語を学習しています。

日本での就職や日系企業への就業を視野に介護・看護や理工、観光の分野で日本語教育を導入する高等教育機関も出てきていますが、学校教育機関以外での日本語学習者数は、3年前の調査から2.も大幅に増加しています。

この理由としては、日本の技能実習制度を利用する人が増加したことで、訪日前に母国で日本語学校に通うケースが増加した、ということが考えられます。

さらには、現地の日系企業における雇用が増えたことも日本語教育熱が高まる一因なっています。

まとめ

海外では日本語学習数の増加とともに日本語教師の需要は増加傾向にあります。

特に東アジアと東南アジアを中心に、日本語教育の需要は増加しており、今後もその傾向は続くことが予想されます。

しかし、海外では、日本語”母語“教師の割合が低く、日本語”母語“教師がまったくいない教育機関も少なくなく、日本語教師不足が問題になっています。

今回ご紹介した2つの国のほかにも、日本語教育に積極的な国は多くあり、国際交流基金や国際協力機構(JICA)といった国の機関が中心となり日本語教師や日本語教育をサポートしたいと考える方に対して、海外派遣事業を積極的に行っています。

海外で日本語を教えることに興味がある方は、海外派遣に関するコラムの中で紹介していますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

コラム:海外派遣プログラムで日本語教師を目指す

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