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2020年度日本語教育能力検定試験 速報レポート その2

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2020年10月30日(金)

Category:コラム

 

こんにちは。

三幸日本語教師養成カレッジで検定試験対策講座を担当している青山豊です。

 

前回に引き続き、今回も日本語教育能力検定試験の受験レポートをお送りします。

 

第2回目の今日は、「日本語教育能力検定試験は変わったか?」(その2 キーワード編)です。

「今年度の出題キーワード(試験Ⅰ)」について、振り返ってみたいと思います。

 

試験会場で驚いたキーワード

はじめに「(20年受験している)私が試験会場で驚いたキーワード」・・・つまり試験会場で初めて出会った(≒準備が間に合わなかった!)検定キーワードをご紹介します。

 

問題5 「意図的学習」と「付随的学習」

語彙学習についての大問の中で出てきたキーワードです。「意図的学習」とはintentional learningまたはdeliberate learningの日本語訳です。語彙を増やすこと自体を目的とし、学ぶ気持ちになって、学習者自身が単語集などを使って行う学習のことです。「付随的学習」とはincidental learningの日本語訳(「偶発的学習」という訳語もあり)です。こちらは、単語のみを切り離して学ぶのではなく、文脈などにも頼りながら、単語や表現を習得していく学習法です。

今回の検定試験では、漢字の授業で学んだ語を、電車の中の広告の中に発見して、コンテクストと共に理解するという例が挙げられていました。

 

問題7 「誤形成」

試験会場で「えっ、『語形成』?では」と思いました。「語」ではなくて「誤」。誤用の現れ方のうち、たとえば「会ってください」と言うべきところを「会いてください」と言ってしまうような、活用や接続の仕方などの形態的な誤りのことをいいます。

 

問題10 「レキシーム」

英語では”lexeme”、漢字語では「語彙素」。この語を含む選択肢は正答選択肢ではなかったので錯乱肢ではあったのですが、この言葉が来年の正答選択肢になるかもしれません。錯乱肢からも貪欲に学びましょう!

 

問題10 「理解補償方略」

文章を正しく読むための「文章理解方略」の一つとして、「内容理解方略」「理解深化方略」などと並んで試験問題の中に登場しました。「理解補償方略」の例として「文中の分からなかったところに戻ってもう一度読む」が挙げられていました。他の二つ「内容理解方略」「理解深化方略」についてもこの機会に調べて、例とともに知っておきたいキーワードです。

 

問題13 「否定応答」

これは試験問題から類推すると、「相手の発話に対して、それを否定するような答え方をすること」のようです。(例 Aさん「いいジャケットですね。よくお似合いですよ」 Bさん「いえいえ、安物だし、そもそも何を着ても似合わなくて」)

 

以上が今年度の試験Ⅰで私を苦しめたキーワードです。このままでは「びっくりキーワードばかり出るのか、それでは来年以降の試験準備はどうしたらいいのか…」とがっかりされるかもしれませんので、ここでこれからの試験準備に役立つ、コンスタントに出題される「ほら出た、また出たキーワード」をほんの一部ご紹介します。

 

 

2020年度の試験に出題された「ほら出た、また出たキーワード」(一部)

 

対人的モダリティ

文法訳読法

直接法

オーディオ・リンガル・メソッド

コミュニカティブ・アプローチ、ナチュラル・アプローチ

タスク中心の教授法(Task-Based Language Teaching)

語用論的転移

自文化中心主義

学習言語能力(CALP)

メトニミー

ダイグロシア

リンガフランカ

クレオール

サピア・ウォーフの仮説

高コンテクスト文化と低コンテクスト文化

 

これらのキーワードの意味は、お手元の「検定試験用語集」にも必ずあるはずです。そしてこれらは来年の試験にも再来年の試験にも出ます。

 

(また新しい検定格言ができました。「検定語彙のほとんどは既習語彙である」by青山豊)

 


 

次回は「やさしい日本語」がテーマで出題された試験Ⅲ問題17の記述問題について、皆さんと一緒に考えてみましょう。

 

2020年度日本語教育能力検定試験 速報レポートその3はこちら

 

執筆:青山豊

(プロフィール)

日本語教師歴約30年。日本語学校、日本教師養成講座の現場で活躍。

2001年度~2019年度まで19年連続で日本語教育能力検定試験合格中。

“検定から学び続ける”をモットーに、現役日本語教師にも役立つ【知識】と【実践力】を融合させる検定試験対策講座を行っている。

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