日本語の先生になろう。

これからの日本語教師セミナーレポート〈前半〉

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2020年3月24日(火)

Category:コラム

日本語教師の新資格の動きが注目されている中、三幸日本語教師養成カレッジでは「これからの日本語教師セミナー」を開催しました。その様子をライターさんにレポートしていただきました。


この日のテーマは大きく2つ。1つ目は「日本語教師の資格とは?」、2つ目が「その資格を得た日本語教師にどのような活躍の場があるか」です。講師は同カレッジで検定対策講座を担当する青山豊先生。まず1つ目の「日本語教師の資格」から解説がなされました。

 

「法務省告示校」で教える日本語教師の要件とは?

 

日本には多くの日本語学校がありますが、留学生を受け入れるに足る学校であるかどうかは、法務省が設ける基準によって審査が行われています。例えば、適正な教育を行っているか、設備は整っているか、経済的にしっかりした基盤を持っているかなど、満たすべき基準があり、それらを満たしている学校は、「法務省告示校」といって、「留学ビザ」を申請することができます。

 

その「法務省告示校」で、日本語を教える教師に求められる要件が、下のスライドに書かれているものです。現在、法務省告示校で教えるためには、この3つの要件のうちいずれか1つを満たしていれば、教えることができます。

 

 

そして、今、日本語教育の世界で、大きな話題となっているのが、「公認日本語教師」という資格です。では、「公認日本語教師資格」とは、どのような資格なのでしょうか。青山先生によると、日本にはまだこの資格を持っている人は一人もいないということ。なぜなら、これから創設される資格であるからです。

 

「公認日本語教師資格」が創設されることになった背景は?

 

では、なぜ、この資格が創設されることになったのか、その背景として以下のようなことがあるということ。

 

最初の項目を見ると、

 

「現在,日本語教師の資質・能力を証明する公的な資格はない。出入国在留管理庁が定める「日本語教育機関の告示基準」の教員要件はあるものの,日本語教師の資質・能力を正面から担保する仕組みは必ずしも十分とは言えない。」

 

ここで言う「日本語教育機関の告示基準の教員要件」とは、先ほどの①〜③の要件です。ですが、この要件では「仕組みは十分ではない」と書かれています。

 

2つ目の項目では、

 

「大学の日本語教師養成課程や民間の日本語教師養成研修の教育内容及び質が均質とは言えず,養成された日本語教師の資質・能力にばらつきが生じている。」

 

とあり、「養成された日本語教師の資質・能力にばらつきが生じている」点に問題があると考えられていることが読み取れます。

 

そして、3つ目の項目を見ると、

 

「そのため,日本語教育が必要な学校をはじめとする教育機関や企業・事業者,地方公共団体等が専門性を有する日本語教師の確保に苦慮している。また,ボランティアによる日本語学習支援が行われているが,人員的にも専門的にも限界である。」

 

とあり、「ボランティアによる日本語学習支援が行われているが,人員的にも専門的にも限界である」の部分が目を引きます。

 

つまり、この3点から見えることをまとめると、国としては、現在、さまざまな現場で広く日本語教育に携わっている人の、日本語教師としての「力量」を全体的に向上させなければならないと考えていることがわかります。しかし、その養成については十分とは言えず、教師の質もばらつきがある。そこで、その力量を備えた人を「公認日本語教師」として認定して、日本語教育の充実を図ろうというのが、この新しく創設されようとしている資格なのだと考えられます。

 

「公認日本語教師」はどう認定される?

 

ここで気になるのが、具体的に「公認日本語教師」は、どのように認定されるのか、ということです。これに関しては、文化庁の文化審議会 国語分科会 日本語小委員会で検討が重ねられ、「日本語教育能力の判定に関する報告(案)」という報告書(以下、報告書)がまとめられ、その中に「日本語教師の資格の仕組みイメージ」という図で示されました。

 

ただ、「イメージ」とついているように、現時点では正式に決まったものではないようです。とはいえ、専門家によって、ある程度、時間をかけて討議されてまとまったものではあるので、概ね、このような条件を満たすことによって、「公認日本語教師」の資格が与えられることは間違いないと考えられます。

 

今後、日本語教師として求められる人材とは?

 

「公認日本語教師の資格」がどういうものかを確認したところで、話は「今後、日本語教師として求められる人材」についてに移りました。これまでに打ち出された方針や方向性の中から、それを探っていきます。

 

これも「報告書」に書かれていることです。キーワードを拾うと、「就労者」「生活者としての外国人」「日本語指導を必要とする児童、生徒」「難民」などです。そうした多様な日本語学習者に対して、「日本語教育の専門性」と「様々な経験」を持つ「多様な背景を有する日本語教師」が強く求められていることが読み取れます。

 

日本語教師養成に求められる必須の教育内容とは?

 

では、多様な日本語学習者を教えることができる日本語教師を、国はどのように養成しようと考えているのか。その手掛かりになるのが「報告書」の中に示された「必須の教育内容」です。

 

こちらは、2018年に示された必須の教育内容です。三幸日本語教師養成カレッジは、2019年に養成講座を開講したため、この教育内容が反映された最新のカリキュラムになっています。右欄にカリキュラム対応を示してあります。

 

教師養成のもう一つの柱が「教育実習」です。座学で知識を身につけることと並んで重視されているのが「教育実習」で、「公認日本語教師」の資格登録要件でも、「教育実習の履修」として大きな柱に掲げられています。

 

「教育実習」では、どのような内容を実施することが求められているか、「報告書」を見ると、養成機関に対して「留学生に加え、『生活者としての外国人』や就労者、児童生徒等、海外など、日本語教師の活動分野となる多様な教育実習現場を設定するよう努めること」ということが明記されています。

 

三幸日本語教師養成カレッジの事務局スタッフである工藤啓史さんによると、できるだけ多様な現場で経験を積んでほしいとの考えから、日本語学校での実習はもちろん、地域のボランティア教室を想定した実習や、技能実習生の研修センター、年少者への日本語教育を行う教室等の見学の機会を用意しているということ。

 

なかなか個人では入るのが難しい現場もあり、都内近郊の養成講座でここまで、さまざまな現場での実習機会が用意されているのは珍しく、受講生にとっては、さまざまな現場での経験を積むとともに、将来の選択の幅を広げる機会にもなっているということでした。

 

セミナー後半は、年少者の日本語教育に携わる講師の先生のお話と、実際に養成講座で学び、今は日本語学校と技能実習生の日本語教育に関わっている受講生お2人の話が聞けました。それは次回のブログで。

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