日本語の先生になろう。

学生はもちろん、教える側の先生も授業を楽しんでもらいたい|早稲田EDU日本語学校 理事長 村松史貴さん

コラム 一覧に戻る

2021年4月23日(金)

Category:コラム

三幸日本語教師養成カレッジの教育実習先としてお力添えいただいている早稲田EDU日本語学校 理事長 村松史貴さんにインタビューしました。(以下敬称略)

インタビュアー 三幸日本語教師養成カレッジ 奥木夏穂

日本語学校の状況について

奥木:御校の近況をお教えください。

村松:2020年度生で未だ入国できていない学生が170名、また2021年度4月生が224名おりますので、合計400名弱の学生が入国制限の緩和待ちとなっています。在校生と合わせて600名超で2021年度をスタートさせる予定です。

現在も入国制限が続いているので、入国できるようになった学生から順次授業を開始させていくことになると思います。

 

日本語学校の学生について

奥木:御校では、どのような方が、どんな想いで、日本語を勉強されていますか。

村松:国籍は中国が92%、ベトナムが7%、その他の国が1%です。以前はもっと多くの国の学生がいましたが、非漢字圏についてはなかなか在留資格を交付してもらえないため、現在はこのような比率になっています。

全員が進学希望で、日本の大学、大学院、そして専門学校へ進学するために学生たちは頑張っています。

 

日本語教育業界への想い

奥木:どのような想いで学校を運営されていますか。

村松:私は学習塾会社時代も含めて30年ほど民間の教育機関で仕事をしてきましたが、日本語教育業界の最も改善すべき部分は問題を「顧客のせい」で終わらせることだと思っています。あえて学生、生徒を「顧客」と表現してしまいますが、例えばサービス業ではどんな問題でも顧客のせいで終わらせることはできません。

しかしこの業界では結果が出ない要因を「あの学生のやる気がないから」「あの生徒は宿題をやってこないから」といったように顧客への丸投げで終わらせてしまうことがあります。この感覚を排除したいですね。「あなたが学生のやる気を引き出してください。」「あなたが生徒に宿題をやろうという気にさせてください。」という想いです。

 

今後、日本語教師に求められること

奥木:今後の日本語教育の在り方、日本語教師に求められることは何だと思いますか。

村松:来年の10月には告示基準の変更により既存校も学生40名に対して専任教員1名が必要になります。経営的に非常に厳しい時代となりますが、同時に教員にとってもふるいにかけられる時代へ変化の始まりです。経営的な視点やサービス業意識のない専任は生き残れないでしょう。

また今回の新型コロナウイルス蔓延で「結果的に」ではありますが日本語学校業界はICT化が加速しました。これからは「ZOOMやパワーポイントが使えません」では話にならないと思います。一定以上のパソコンスキルは習得するようにするべきでしょう。苦手意識のある方もいらっしゃると思いますが、まずは使ってみようと踏み出すことが大切です。

 

当校の実習生について

奥木:御校にお力添えいただいている教壇実習に関して、実習生の授業をご覧いただいた感想をお教えください。

村松:教壇実習は実際の授業よりもはるかにやりにくいはずです。それでも皆さん堂々としていたことには驚きました。また、私には専門的な教務知識はないので、その部分はスタッフに任せていますが、どんな場面でも「学生全員に意識を向ける」ということができていたと思います。

 

就職した三幸修了生について

奥木:御校で働かれている三幸日本語教師養成カレッジの修了生はいかがですか。

村松:三幸日本語教師養成カレッジの修了生として、現在2名の先生が非常勤教員として勤務していますが、1名は4月から専任になってもらうことになりました。他の学校からも専任のオファーがあったようですが、当校を選んでくれたことでほっとしています。非常に積極的な先生で、週間のコマ数も校内ではトップクラスです。

またもう1名はいつも明るく、学生にも非常に人気のある先生です。ただ残念なことにご主人の海外赴任が決まってしまい今期で一旦休職になります。帰国後はまた復帰してもらう約束になっています。

 

日本語教師を目指す方へメッセージ

奥木:日本語教師を目指す方へ、メッセージをお願いします。

村松:一人ひとりの学生をよく見て、小さな変化にも気づいてあげられる教師になってください。「気づき」が問題解決の早道です。「最近あの学生、宿題もやってこなくなったしやる気がないんですよ」そんな会話を聞くことがありますが、そうなってしまうまでにはいくつかの変化があったはずです。小さな変化にもしっかり対応して、問題は小さなうちに摘み取っていく、それを繰り返してほしいと思います。

奥木:その他、お伝えしたいことや想いがありましたらお聞かせください。

村松:どんなに豊富な知識や経験があっても、受ける側の学生が「この先生に授業を受けよう」「話を聞こう」と思わない限り何も伝わりません。心を開くための第一歩は笑顔です。そして第二歩が明るい挨拶です。その先はほんの少しの自己開示というところでしょうか。お互いが心を開いて、教える側の先生も授業を楽しんでもらいたいと思います。

 

早稲田EDU日本語学校 公式サイト:https://www.wasedals.com/

コラム 一覧に戻る