日本語の先生になろう。

日本語教師に年齢は関係ある?

コラム 一覧に戻る

年齢のアイキャッチ画像

2020年11月20日(金)

Category:コラム

日本語教師は母語を日本語としない人たちに日本語を専門的に教える仕事ですが、日本語を教えることに関して年齢は関係があるのでしょうか。

今回は、日本語教師に年齢は関係があるのか、ということについて考えてみたいと思います。

日本語教師で最も多い年代は?

現在多くの日本語教師の方たちが、国内、国外を問わず活躍しています。

日本に在留する外国人の増加とともに、日本語教師の数も増加しています。

では、日本語教師として活躍している人の中で、最も多いのはどの年代でしょうか。

実際に調査されたデータから調べてみました。

日本語教師の年代別割合

文化庁では毎年国内の日本語教育の概要について調査を行っています。

文化庁国語科:令和元年度国内の日本語教育の概要

年齢画像

最新の令和元年度の調査によると、日本語教師の人数は46,411人となっていて、そのうちの22.3%にあたる10,352人が60代となっており、日本語教師で最も多い年代となっています。

次に多い年代が50代で、全体の17.6%にあたる8,177人、さらに70代以上は、全体の11.1%にあたる5,159人となっています。

この調査を見る限り、日本語教師の約半数が50代以上ということになり、日本語教師の年齢は、全体を見るとかなり年代が高いということがわかりました。

文化庁国語科:令和元年度国内の日本語教育の概要より引用

日本語教師で重視されるのは年齢?それとも経験?

日本語教師の年代別の割合は50代以上が半数となっていることはわかりましたが、実際の日本語を教える現場において、日本語教師に適した年齢というのはあるのでしょうか。

続いては、日本語教師の年齢について考えてみたいと思います。

日本語教師に年齢制限はある?

日本語教師の求人情報を見ると募集条件に年齢制限を掲げているものは基本的にはありません。

これは、平成19年10月から雇用対策法が改正され、雇用主が労働者を募集する場合の年齢制限の禁止が法律で義務化されているためです。

ただし、就業規則に定年が定められている場合においては、定年を理由とした年齢制限が募集内容に記載されている場合があります。

実際の日本語教師の求人情報を見ると、年齢に関する条件よりも、日本語教師の資格や経験を重視している求人が多いようです。

日本語教師は年齢が若いほうがいい?

これから日本語教師を目指す人にとっては、自分の年齢で日本語教師になることができるのか、日本語教師として仕事をすることはできるのだろうか、という点は、とても気になるところだと思います。

一般的に、企業に就職や転職をする場合は、年齢が高いほど厳しくなっていくと言われています。

一方で、日本語教師の場合は、日本語学校の雇用形態が授業単位で契約する非常勤講師の割合が多いことから、すぐに授業を受けもつことができる人材を募集している場合が多く、比較的経験者が優遇されています。

ですが、日本語教師を募集している日本語学校によっては、未経験者の人でも研修制度を設けて育成しながら雇用するところもあります。

日本語教師としての経験がなくても、これまでの就業経験や人生経験が生かせ、コミュニケーション能力や人柄が重視されることも多いので、年齢が若いから有利ということは言えないようです。

日本語教師に求められるものは?

即戦力が求められる背景には、日本語教師の人手不足という問題があります。

日本語教師には、日本語を教えるための専門的な知識や技術に加えて、多様な文化に対する対応力が求められるため、誰にでも簡単になれる職業ではありません。

日本語を学びに来る外国人の人たちは、それぞれの国の文化や考え方があり、日本人の感覚とは異なることも多くあります。

ですので、日本語教師には異文化を受け入れられる思考の柔軟性が求められます。

また、日本語を学びに来る外国人の人たちは、日本語の学習とともに、将来日本で働くことを目指して、日本の企業や社会のことなど、社会の中の実体験にもとづく情報を求めています。

そのような意味では、職場で社会経験を積んだ人の方が、実体験にもとづく活きた日本語を伝えることができる、という点で有利になると思います。

50代、60代からでも日本語教師になれる?

これまでは、日本語教師として活躍している人たちの年齢についてお話をしてきました。
日本語教師として活躍している人たちの年齢は50代以上が全体の半数を占めている、ということはわかりましたが、今度は未経験で50代以上の人が、資格をとって日本語教師を目指した場合、日本語教師になることは可能なのか、ということについて考えてみたいと思います。

日本語教師の資格をとるのに年齢は関係がある?

日本語教師になるには一定の資格や条件が必要になります。

その資格は主に次の3つです。

  • ・大学・大学院で日本語教育を専攻する
  • ・日本語教育能力検定試験に合格する
  • ・4年制の大学を卒業したうえで日本語教師養成講座420時間以上のコースを修了する

日本語学校の日本語教師になるには、このいずれかまたは複数を持っていることが求められますが、どの資格も取得するにあたって年齢の上限を定めているものはありません

ただ、大学や大学院に入って日本語教師の資格や条件を取得する場合は、2年から4年、またはそれ以上の時間が必要になります。

比較的短期間で日本語教師の資格や条件を取得する方法としては、日本語教育能力検定試験に合格するか、4年制の大学を卒業している人であれば、日本語教師養成講座420時間以上のコースを修了するという2つの選択肢になります。

この中で、実際にはほとんどの人が、日本語教育の知識を体系的に学ぶことができる日本語教師養成講座の受講を選択しています。

日本語教師養成講座は年齢に関係なく受講できる!

先ほど述べた通り、日本語教師養成講座は年齢の上限はなく、50代、60代の人でも受講が可能です。

実際に三幸日本語養成カレッジの日本語教師養成講座の受講者の年代別割合を見ると、50代以上の割合が全体の35%を占めています。

お申込者データ①

資料:三幸日本語教師養成カレッジ 2020年6月末時点お申込者年齢割合

日本語教師になるには年齢よりも、日本語教師になりたいという気持ちと、日本語教師になるための資格をとる、といった行動を起こすことのほうがが重要です。

まずは非常勤講師の求人に応募してみる!

自分の年齢を考えると、資格を取得しても日本語教師として雇ってもらえないかもしれない、と不安に思っている人もいると思います。

しかし、日本語教師は人手不足の状態が続いていますので、年齢や経験を問わず募集している日本語学校もあります

最初はだれでも未経験者ですので、未経験者だからと言って日本語教師になれないということはありません。

人手不足で年々シニア人材の採用は増えてきていますので、日本語教師の資格を取得したら、まずは非常勤講師の求人に応募してみましょう。

ボランティアの日本語教師になる

また、収入を得ることにこだわらなければ、ボランティアで日本語を教えるという方法もあります。

日本に在留する外国人の増加とともに、日本語教育の需要が高まっていることから、多くの自治体や国際交流団体が、在留する外国人の支援を目的とした日本語教室を開催していて、ボランティアの日本語教師が活躍しています。

ボランティアで日本語を教えるのに基本的に年齢は関係ありません

日本語教育を通じて地域貢献、社会貢献がしたいという思いや、地域に住んでいる外国人の人たちをサポートしたい、といった気持ちがあればチャレンジできる活動です。

参考:コラム ボランティアで日本語を教える

まとめ

日本語教師の年齢は、若い方が有利ということではありません。

老若男女問わずたくさんの日本語教師が活躍しています。

これから日本語教師を目指す場合でも、日本語教師の資格の取得に年齢の上限はありません

やる気と行動があれば、50代、60代の人でも資格を取ることが可能です。

日本語教師の求人の中には、「未経験者OK」のところや「年齢不問」の募集も少なからず掲載されています。

人手不足で年々シニア人材のニーズは高まってきますので、年齢に関係なく、日本語教師を目指したいと考えている人は、ぜひチャレンジしてみてください。

コラム 一覧に戻る